
『アイデアのつくり方』(ウェブヤング)はとっても薄い本。アイデアをどう生み出すのかについて書かれた本では筆頭の内容でしょう。
既存にあるものを組み合わせるところにアイデアがある……。この話は有名なセリフです。
つげ義春『無能の人』は、石を拾って売って生活しようとしたことが登場する漫画です(説明が大雑把ですが……)。価値のある石を拾い、露天で売るという。これもアイデアです。うまくすれば、お金になり仕事になります。
秩父珍石館は集めた石に名前を付けて展示してある博物館。こちらも石に面白く名前をつけ、それを展示するというアイデア。
この3つなどを参考にして、お金を稼ぐネタの組み合わせや、アイデアをうまく活かす方法やコツについて考えてみました。仕事に関わる工夫、好きなことを仕事にする話など。
石を拾って、売る、つげ義春『無能の人』、石を集めて、名付けて展示する秩父珍石館。ウェブヤング『アイデアのつくり方』を関連させてみますと……。
目次
- 面白い石を集めて展示している「秩父珍石館」
- アイデアひとつで、好きなことを仕事に
- アイデアのつくりかたは組み合わせから。笑っていいともでやっていたそっくりさんのコーナー
- 石を集める+アイデアで思い出したのは、つげ義春『無能の人』
- 『無能の人』を貸してくれた人が言った、石が売れないことと、自分の好きなことを組み合わせてみるという話
- 「石が売れなくっても、好きなことを続けられるかどうか」を頭において、無能の人、読みました
- 自分のやっていることを、アイデアを好きなことを他人から認めてもらえなくても、やり続けられるかっていう点において。
- 好きなことを仕事にしてうまくいった理由とアイデア
- 「好きなことを仕事にできて稼げてる」。答えは単純なことだと思う
- 需要と供給のバランスと、好きなことを仕事にすること
- 石を売っている『無能の人』の主人公のアイデア
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面白い石を集めて展示している「秩父珍石館」
日刊SPA!に掲載された、“人面石”に取り憑かれ、集めに集めた900個!「秩父珍石館」に驚愕という記事を読みました。
「埼玉の秩父に、絶妙なクオリティの博物館があるんです」(東京近郊の珍スポットを紹介する「東京別視点ガイド」管理人の松澤茂信氏)という。それが「秩父珍石館」だ。
『タモリ倶楽部』や『中居正広のブラックバラエティ』にも登場した知る人ぞ知る存在である。
「初代館長の故・羽山正二さんが、50年間集めに集めた珍石・奇石を約1700個展示している。中でも、圧巻なのは「夢のお告げ」で集め始めたという「人面石」。なんと、1700個中900個が人面石という力の入れようだ」。
アイデアひとつで、好きなことを仕事に
「漫才師」とか「スカパー」とか「ちびまる子ちゃんの野口さん」と名づけられた石たちの写真。
見ていますと、名付けのセンスといいますか、面白い。似てる、似てる。名づけられたことでイメージが沸き、石が意味を持ち始めます。素晴らしい、アウトプット。
名前を付けることで、現れて来るものはアイデアの醍醐味のようなもの。
なぜ、名づけられるのかというと、名付け親がそのことを知っていて、組み合わせることができたから。インプットありきということです。
アイデアに関する工夫というのは、知っていることを増やすところにもあるのでしょう。
「言われてみると!」
「いや、それは違うんじゃ?」
「えええ?」
面白い。石ひとつにも、たくさんのネタの組み合わせあり。話を膨らませる補助線はあるのです。ボケ・ツッコミ、シャレ・ジョークになる要素はあると。
これって、石の模様や形 + 名付け = 発見 という公式。
発見はネタ化と言ってもいいものでしょう。人間はネタを欲します。
これは、簡単にできそうに思えますが、意外と簡単にできることではない。
たくさんの石を見つけて行く中で、アイデア化される感覚、アイデアの考え方、出し方が鍛えられていったのでしょう。
アイデアのつくりかたは組み合わせから。笑っていいともでやっていたそっくりさんのコーナー
関根勤さんが、笑っていいともでやってたコーナーに、登場する素人さんにあだ名といいますか、一言さくっとコメントを言うものがありました。
そっくりさんかどうかということがメインなコーナーではあるんですが、
「カラオケの十八番は、八代亜紀『舟歌』です。2日前にカラオケで歌いました」だったり、
「マイブームは、たらこくちびるです。最近いいものに出会いません」だったり、
「2週間前に、ルービックキューブで徹夜しました」だったり、
そういう感じのことを登場してきたときに言う。関根さん、思い浮かんだことをおっしゃってるのだとは思いますが、これまた「知っていること」を組み合わせてるんですね。
関根さんの比喩っぷりが素晴らしかった記憶があります(それだけのDVD作ってほしい)。
「秩父珍石館」に展示されてるものは、それの「石」バージョン。
「あの石、スカパーっぽくね?」
こちらもネタ化できる、ネタが頭にないとできない技です。ちょっとした小話、ストーリーを作ると言いましょうか。
Wヤング言うところの、アイデアは既存にあるものの組み合わせ。まさにそれを見ている感じがしました。
(↑とっても薄い本ですけど、名著。ジェームス・W・ヤング『アイデアのつくり方』)
石を集める+アイデアで思い出したのは、つげ義春『無能の人』
秩父珍石館の記事を読んでて、石を集めるということろから、つげ義春『無能の人』を思い出しました。
無能の人は、多摩川で値段のつきそうな石を探して、多摩川で店を開いて売るというところから始まる、漫画です。
浅く考えてみても、石を拾って売れるなんてことは考えられないのだけど、主人公はこれをやめられない。
珍しい、金になる石があると、あると……。つまり、そういうレアなものは売れるぞと。商品になるぞと。
夢見ちゃう。夢見ちゃうんですね。
京王線の調布駅から、枝分かれしている京王相模原線の途中の駅、京王多摩川のあたりが舞台。
無能の人に、競輪場が出てきます。これは、京王閣のことだと思います。
10年ほど最寄り駅が調布だったこともあって、鉄橋を走る京王線から見える多摩川を何度も見ました。そんなに悪いものでもない景色。むしろ、好き。
『無能の人』を貸してくれた人が言った、石が売れないことと、自分の好きなことを組み合わせてみるという話
『無能の人』を読んだのは、18歳くらいのときだったかと思います。
とある人が貸してくれたんです。
こんなセリフと一緒に。
「この漫画の主人公はね、石を売るんだ。川から拾ってきてね。でも、売れない。とにかく、売れない。でもね、石を探してきて売るんだ。オークションに出品したりね……。
この石を売るってことをね、君のやりたいと思うもの、好きなことに置き換えて考えてみるといいよ。うまくいかない状況が長く続いたとしても、やり続けられるかな?」
10代の終わりの頃に言われるセリフにしてはシビアです。
当時したいこと、やりたいことはあったといえばありました。でも、それは薄っぺらいもので似非ていたと言っていいかと思います。
それは、何か商売をすることでした。
「石が売れなくっても、好きなことを続けられるかどうか」を頭において、無能の人、読みました
うん、なんとも言えない気持ちになりました。いいアイデアがあったとしても、いつ花開くかわからない。
石が売れなくって、お金にならず、稼げず、駄目で駄目で、駄目だったとしてもやり続けられるのかって……。好きなこと?
なんとも言えない気持ちの何割かは、男と女のやりとりでイマイチわからないところのモヤモヤでありましたが。
今35歳になって思うのは、10代の終わりに読んでよかったなぁと。漫画やアニメにあまり触れないできてる中で、読んだ数少ない漫画のひとつ。
重要なのは、貸してくれたときのセリフですね。
これがなかったら、あまり記憶に残ってないですよ。「おもしろいよ、この漫画」と言われて、貸してもらっても読もうと思ったかどうか……。
言い方が悪いですけど、自分にとって『無能の人』という漫画は、自分の好きなことややりたいこと、そのアイデアとどうつきあっていくのかについてのリトマス試験紙的な感じがありました。
自分のやっていることを、アイデアを好きなことを他人から認めてもらえなくても、やり続けられるかっていう点において。
その状況をどうすれば脱却できるのかという点において。心持ちの問題であります。
ルーチンワークっていうものがありますが、自分、そういう日々繰り返すものにあまり飽きないところがあるんです。
もう半年くらい、朝は月見うどん食べてたりします(意味違うか)。
やりたいと思っていることを淡々とこなすのが苦ではないのは、この本の影響からもありそうです。
飽きないというのは大切なことです。アイデアをつくる上で大切なことです。
関連→アウトプットを鍛える練習や方法で大事なのは、まずインプットしてストックすること。そして、繰り返し表現を見返せる仕組みを作ること
関連→信頼関係の築き方は、仕事、恋愛、男女問わず繰り返しの行動が意味を持つ。発展も修復もコミュニケーションから
好きなことを仕事にしてうまくいった理由とアイデア
「やりたいこと=好きなこと」という公式があります。やりたいことは好きなことであり、それを仕事にというわけです。
実際、好きなことを仕事にできてる人っています。
願望の数と叶った数において著しく差はありますが……。
数少ない、成功したひとたちが「好きなことを仕事にするといいよ、うんぬん」と、他の人へすすめるているときに、欠けてることがあるんです。
「好きなことを仕事にできて、稼げている理由」
です。
どうして好きなことを仕事にできているのか? という根本的な理由です。
「楽しく元気に仕事をしてるからよ~」ということじゃなくって、なぜ故にお金が入ってくるのかという、どちらかといえば下世話なこと……。
仕事とと収入は密接な関係にありますから。
「好きなことを仕事にできて稼げてる」。答えは単純なことだと思う
答え、それは、
「需要がけっこうあることなのに、供給が著しく少なかったものが、好きなことだった」
ということ。
このパターンってけっこう多い。
アイデアの組み合わせがよかったということです。アイデア作り方がよかったということです。
狙っていけたのか、たまたまだったのかは、その仕事によりけりでしょう。
パターンにハマっていたものの、気づけなかった人たちを一発屋と言う。
パターンに気付ける人はどんどん大きくする手綱を確実に握っています(だから、イケイケドンドンになりにくい)。
うまくいったことを、需要と供給のかかわりにまで視点を下ろせてるかどうか……。
Aをして、Bをしてうまくいった。さて、それはどういう感情の流れがあってなされたのか? 他に応用は可能なのかというところにまで話が行くのか。
そこまでできてるほうが、のちのち楽になると思うんですよ。
自分なりの必殺技が見つかってるわけですから。
好きなことを仕事にしてて、他人にすすめるのはいいのですが、うまくいった「からくり・仕組み」は伝えたほうがいいと思うんです。
余計なお世話だとは思いますが……。
「石が売れなくっても、好きなことを続けられるかどうか」を頭に置いて、『無能の人』を読んだほうがいいよと言った人は、一発屋になるなよという視点もあったんだろうと思います。
需要と供給のバランスと、好きなことを仕事にすること
需要があるけど、供給もあるものを好きで仕事にしてゆくのはけっこうしんどい。パイの奪い合いが激化してるところに、好きとはいえ突入していくわけですから。お金になるアイデアの組み合わせも出尽くしていたりする。
ゆえに、好きでなくなる可能性も秘めているわけです。とても嫌なことですよ。ほんとに。
需要があって、供給もあるところのほうが、承認されやすいっていう側面もあるのでしょうが、余程のことでも無い限り、承認されてもその余韻は短くなるのでは……。
これは余談ですけど、路上ミュージシャンの歌う曲、カバー曲を聞いてて、「なーんで似たり寄ったりな選曲するんだろうなぁ」ということだったりします。
揃いも揃って、中島みゆきの『糸』歌ってる場合かー、と。
あっ、愚痴になっちゃいましたけど、いや、中島みゆきさんの『糸』、いい曲ですよ、名曲ですよ。縦も横も大切ですよ。
でもですね、誰も知らない曲だろうけど、すんごくいい曲見つけてカバーしたほうがいい。カバーをするのなら、そういう曲織り交ぜたほうがいい。
誰でもかれでも知っている名曲をカバーしないと、歌ってる側が安心できないというのは、どうでしょう、全てが全てとは言いませんが、力が伸びていくものでしょうか。
ものすごく有名な人の選択としてはアリと思いますけど、無名な人の選択としては厳しいものでしょう。
いい曲を聞きたいと思っている需要に、あまり知られていない曲を供給する部分を作るってことですね。供給って言うと偉そうですけど……。
「その曲、自作のものですか?」って聞かれるくらい、マイナーだけどいい曲を探してくるとか。
好きなことを仕事にしてゆくというのは、人気馬が勝つことではなく、たいてい穴、大穴のたぐい。
「好きなことをして、私は人気馬になれるー」って、勘違いするところから悲劇がはじまるんですよ。
石を売っている『無能の人』の主人公のアイデア
無能の人の主人公は、石が売れるというアイデアの需要はあまりないのに供給はできるぞと勘違いした。
ある程度のところで引き返せれば、傷も浅かったのだろうけど、それもしなかった。猛進。
それは悲劇ですよ。競馬でもちょいちょい見かけますけど……(自分もやってしまうけれど)。
そこで大事なのは、ちょこちょこ気付けるかということでしょう。『アイデアの作り方』から考えると、自分が変な方向に進んでいないかという組み合わせを見つけられるか。
そのための組み合わせの仕入れを日々しているかどうかがポイント。知ることって大切ですね。
そんな中、需要はけっこうあると見込めるのだけど、供給できるところまではまだいかないかもしれない。研究材料。試行錯誤……がみつかるといいのだけど。
「石を見せる」という行為ひとつでも、見せ方ひとつでガラッと変わる。組み合わせ方ひとつでかわる。そこに常に介在しているのは、「需要と供給」である。
無能の人の主人公が、石を面白く例えてお金を稼ぐようになることもあり得るということです。組み合わせて気付くアイデアを見つけられれば……。
それに気づかせてくれた、つげ義春『無能の人』はすごいなぁと思います。
以上、アイデアのつくり方の本から【お金を稼ぐネタの組み合わせや、方法やコツを考える】という話でした。
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